職人醤油のおはなし
東北から九州まで日本各地の蔵元が手がけたお醤油を、100mlの小瓶に詰めて販売している醤油専門店「職人醤油」。代表の高橋万太郎さんが日本各地の蔵を実際にめぐり、吟味したお醤油を取り扱っています。 職人醤油のことやお醤油のことについて、万太郎さんにお伺いしてみました。 |
職人醤油のはじまり
職人醤油が誕生したのは、夫婦ででかけた日本各地をめぐる旅がきっかけになったそうです。 「日本の伝統産業」というキーワードで、ぷらぷらと各地をめぐったあと、お醤油にたどり着きます。 それには旅のなかで職人さんから聞いたこんな言葉が発端に―――。 「自分たちはいいものをつくっている自信があるけど、なかなか売れないんだよね。」 それは、外国の大手が参入していたり、国内の大手メーカーの力が強いから。 消費者が自分の好みなどできちんと選んで買っていないものはなにかと考えたときに、お醤油にしようと考えたそうです。 そこからお醤油の蔵元だけを30軒ほどめぐり、これを売るにはどうしたらいいかなと考えたときに、気軽に手にとってもらいやすい小さいサイズで商品化することに。 |
だから職人醤油のお醤油は、気軽に味比べができる100mlの小サイズのみ。 パッケージも醤油屋さんの醤油のデザインをそのまま使用しています。 |
好きな作り手の醤油を商品に
2006年から蔵元めぐりをはじめ、今年で約10年。訪れた醤油蔵の数はなんと400軒になります。そのなかの45軒くらいと現在取引をされているとのこと。 |
――この蔵元の醤油を商品にしようという決め手は何かあるんでしょうか? 「ぼくの好き嫌いです。ぼくが好きになったひとのお醤油を商品にしています。」 ――その“好き”と感じる基準はなにかありますか? 「物作りにまじめな人、ちゃんと物作りに向き合っている人ですね。 作り手と商品のクオリティには関連性があると思っています。もちろん醤油は全て味を見ていますし、現場にも行っていますが、根本的なところで絶対的な味覚が優れているかといえば普通だと思っているんです。 だから、ぼくの味覚だけでセレクトはできないなと思っていて。 ただ、僕がいいなと思ったひとが作っているお醤油へのお客さんの反応はいいと感じているので、あながち間違っていない軸かなと思っています。」 |
万太郎さんは温かくて柔らかい雰囲気をまとった方。お話をしていると、本当にひとやお醤油に対して正直に、熱意をもって取り組んでいらっしゃることが伝わってきます。 お醤油の本も出されていて、読めばそのマニアックなほどの知識の深さに驚くはず。 “好き嫌い”という言葉で説明していただきましたが、その好きや嫌いのなかにもお醤油に対して愛情をもって接している万太郎さんなりの目利きがつまっているんだと思います。 |
お醤油選びのポイント
プリュスで扱っている職人醤油のお醤油は全55種類。たくさんの種類があるので、どれにしようか、やっぱりすごく迷いますよね。 ――お醤油はどうやって選んだらいいですか? 「まずは醤油の種類を飛び越えて使ってもらいたいです。そうするとどなたでも醤油の違いは分かると思います。」 |
お醤油にも種類があります。 色が淡い方から、 白醤油、淡口醤油、甘口醤油、濃口醤油、再仕込醤油、溜醤油と6種類。 例えば「濃口醤油」のなかから数本選んで味比べをしてみても、その味の違いを見極めるのはなかなか難しい。 だからまずは、 淡口系・・・白醤油 & 淡口醤油 中間・・・・甘口醤油 & 濃口醤油 濃口系・・・再仕込醤油 & 溜醤油 という3つの柱を基準に1本ずつ選んで試してみるのがおすすめだそうです。 そういう風にまずは試してみると、なんとなくこれが好きとか、これにはこれがいい、これが美味しかったという自分なりのお醤油の好みがわかってくるから。 |
また、「パッケージで選んでもらうというのもひとつかな。」と万太郎さんはおっしゃっていました。 いわゆるジャケ買いです。確かに、お醤油のパッケージは蔵元のデザインをそのままつかっているし、そのデザインが醸し出すかっこよさや雰囲気で選ぶというのも素敵です。 なんとなく気になるという、直感的な出合いがいい縁になるかもしれません。 |
味の好みは皆さんそれぞれで違います。 先日、万太郎さんが開催した「利き醤油の会」でも、どの醤油が美味しいと感じるかという統計を取りましたが、やっぱり参加者の皆さんの好みはバラバラに。 そのまま醤油だけ舐めたときの好みと、豆腐などの食材につけたときの好みが変化するのもおもしろかったです。 だから、まずは試してみてください。そして自分の好きなお醤油の味を、ご自身で見つけてください。 奥深いお醤油の世界へ、職人醤油のお手軽な小瓶の醤油で飛び込んでみると、きっと、おもしろい世界が広がっていくと思います。 (2017.06.19) |